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あぶれ手当とは?もらえる条件や金額・申請手続きのやり方をわかりやすく解説

日雇いや単発のお仕事は、自分のライフスタイルに合わせて柔軟に働けるという大きな魅力がありますよね。その一方で、雨などの悪天候で急に現場が休みになったり、希望する条件の仕事が見つからなかったりして、「今日の収入がゼロになってしまったらどうしよう……」と不安を感じる場面もあるのではないでしょうか。

そんな日雇いで働く方々の生活を守るためのセーフティネットとして用意されているのが、通称「あぶれ手当」と呼ばれる公的な制度です。

「手当の存在は聞いたことがあるけれど、自分ももらえる対象になるのかわからない」「なんだか手続きが難しそうで敬遠している」といった方も少なくないはずです。通常の失業保険(基本手当)とは仕組みが大きく異なるため、初めての方には少し複雑に感じられるかもしれません。

この記事では、あぶれ手当の仕組みや受給するための厳格な条件、もらえる金額の目安、そしてハローワークでの具体的な申請手続きの流れまでを、専門用語をなるべく使わずにわかりやすくひも解いていきます。現代の新しい働き方(スキマバイトやギグワーカー)との関係性といった最新事情も交えて解説していきますので、日雇いで働く不安を少しでも軽くするための知識として、ぜひ最後までお役立てください。

目次

あぶれ手当(日雇労働求職者給付金)とは?基本的な仕組み

まずは、あぶれ手当とは一体どのような制度なのか、その全体像から把握していきましょう。名前の由来や、国の雇用保険制度のなかでどのような役割を担っているのかを知ることで、制度への理解がぐっと深まります。

「あぶれ」の由来と制度の目的

「あぶれ手当」という名前は、なんだかユニークな響きを持っていますよね。これは、仕事が見つからずに就労できない状態を指す「仕事にあぶれる」という言葉からきている現場の通称です。

建設現場や港湾での荷役作業など、日雇いの仕事は天候や景気、その日の発注量によって仕事の有無が大きく左右されます。昨日までは忙しかったのに、今日は突然仕事がない、ということも珍しくありません。仕事がない日は当然お給料が発生しないため、日雇い労働者の方の生活は常に不安定な状態に置かれがちです。

そうした「急に仕事にあぶれてしまった日」の最低限の生活費を保障し、次の仕事を探すための支援を目的として作られたのが、このあぶれ手当というわけなのです。

正式名称と雇用保険制度における位置づけ

現場では親しみを込めてあぶれ手当と呼ばれていますが、公的な書類やハローワークの窓口では「日雇労働求職者給付金(ひやといろうどうきゅうしょくしゃきゅうふきん)」という少し堅い正式名称が使われています。

これは、会社員やパートタイムで働く方が退職したときにもらえる「失業保険(正式名称:基本手当)」の、日雇い労働者バージョンと考えていただくとわかりやすいでしょう。

どちらも国が運営する雇用保険制度の一部ですが、対象者や支給される仕組みには明確な違いがあります。

項目一般の失業保険(基本手当)あぶれ手当(日雇労働求職者給付金)
主な対象者長期間継続して雇用される会社員・パートなど日々雇用される人、または30日以内の期間を定めて雇用される人
保険料の納付方法毎月の給与から天引き(月単位)働いた日ごとに「雇用保険印紙」を手帳に貼る(日単位)
支給のタイミング離職後、一定の待期期間を経て数ヶ月分をまとめて受給仕事がなかった日(失業の日)にハローワークに出頭し、その日または数日分を受給
手続きのタイミング会社を「辞めた後」に手続きを開始する働く「前(就労中)」から手帳を取得し、印紙を貯めておく必要がある

このように、あぶれ手当は「毎日仕事を探し、仕事がなかったその日の分の手当をもらう」という、日雇い労働のサイクルに特化した非常にスピーディな給付システムになっています。

あぶれ手当の受給対象となる「日雇労働被保険者」とは

あぶれ手当を受け取るためには、大前提として雇用保険法が定める「日雇労働被保険者(ひやといろうどうひほけんしゃ)」に該当していなければなりません。単に「1日単位で働いている」というだけでは対象にならない点に注意が必要です。

どのような働き方であれば対象となるのか、具体的に見ていきましょう。

対象となる働き方と業種の具体例

法律上、日雇労働被保険者として認められるのは、次のいずれかに当てはまる方です。

  • 日々雇用される人
  • 30日以内の期間を定めて雇用される人

ただし、これに加えて「適用地域」と呼ばれる特別な指定地域(東京23区や政令指定都市、およびその隣接地域など)に居住している、あるいは適用地域内の事業所で働いている、といった細かな地域要件も絡んできます。

具体的な業種としては、古くからこの制度に支えられてきた業界が多く該当します。

  • 建設業:土木作業員、とび職、大工など、現場の工期や状況に合わせて日々雇用される方。
  • 港湾運送業:船からの荷降ろしや積み込みなど、船の入出港スケジュールに合わせて日々人員が変動する仕事。
  • イベント設営:コンサートや展示会の会場設営など、単発で大勢のスタッフが必要になる仕事。

これらの業界では、事業主側も日雇い労働者を雇用する際のルール(印紙の購入や手帳への貼付など)に慣れていることが多く、制度がスムーズに運用されている傾向にあります。

【注意】単発バイトやギグワーカーは対象になる?

近年、スマートフォンアプリを通じて1日数時間だけ働く「スキマバイト(タイミーやシェアフルなど)」や、自転車で料理を配達する「フードデリバリー(Uber Eatsなど)」といった働き方が急速に広まっています。

「自分も単発で働いているから、あぶれ手当がもらえるのでは?」と期待される方もいらっしゃるかもしれませんが、現状ではこれらの新しい働き方は、あぶれ手当の対象外となるケースがほとんどです。その背景には、以下のような理由があります。

  1. 雇用保険の適用除外規定スキマバイトのような単発のお仕事は、雇用契約を結ぶ場合であっても「1週間の所定労働時間が20時間未満」または「31日以上の雇用見込みがない」といった雇用保険の適用基準を満たさないことが多く、結果として日雇労働被保険者としての手続きが行われないことが大半です。
  2. 業務委託契約という壁フードデリバリーの配達員などのいわゆる「ギグワーカー」は、そもそも企業との間に雇用契約を結んでいません。個人事業主として「業務委託契約」で働いているため、雇用保険という労働者を守る制度の枠組みそのものから外れてしまうのです。

このように、あぶれ手当はあくまで「企業に直接雇用される日雇い労働者」を対象とした制度であり、現代の多様な働き方すべてをカバーできているわけではないという点は、事前に理解しておく必要があります。

あぶれ手当をもらうための厳格な3つの条件

日雇労働被保険者に該当したとしても、無条件ですぐにお金がもらえるわけではありません。あぶれ手当を受給するためには、乗り越えなければならない「3つの厳格な条件」が存在します。

ここからは、受給の鍵を握る重要な条件について詳しく解説していきます。

条件1:日雇労働被保険者手帳の交付を受けていること

最初のステップであり、最も重要なのが「日雇労働被保険者手帳(通称:白手帳)」を持っていることです。

通常の会社員であれば、会社側がすべて雇用保険の加入手続きを行ってくれますが、日雇い労働の場合は労働者本人がハローワークに出向き、この手帳の交付申請をしなければなりません。

手帳は、あなたが日雇労働被保険者であることを証明する身分証のようなものであり、後述する「雇用保険印紙」を貼り付けるための大切な台紙でもあります。この手帳を持っていない状態でどれだけ日雇いの仕事をこなしても、あぶれ手当の対象期間としてはカウントされないため、日雇いで働き始めることが決まったら、何よりも先に手帳を取得することが大切です。

条件2:雇用保険印紙が2ヶ月間に26日分以上貼られていること

あぶれ手当の手続きにおいて、最もハードルが高いと言われているのがこの印紙の条件です。

仕事をあぶれた月(手当をもらいたい月)の前2ヶ月間に、手帳に雇用保険印紙が合計26日分(26枚)以上貼られている必要があります。

「雇用保険印紙」とは、切手のような形をした証紙のことです。日雇い労働者を雇用した事業主は、給与を支払う際に労働者負担分の保険料を天引きし、事業主負担分と合わせた金額の印紙を郵便局で購入し、労働者の手帳にペタッと貼り付けて消印を押す義務があります。これが、日雇い労働者にとっての「雇用保険料を納めた証明」となります。

  • なぜ「26日分」なのか?前2ヶ月間(約60日)のうち、おおよそ半分の日数である26日以上働いている実績があれば、「日雇い労働を主たる生計の手段としている」と国がみなすためです。
  • 印紙の貼り忘れに注意事業主が印紙制度を知らなかったり、意図的に貼るのを怠ったりするトラブルも少なからず発生します。仕事が終わるたびに、必ず自分の手帳に印紙が貼られ、消印が押されているかを確認する自己防衛が不可欠です。

条件3:ハローワークで求職の申し込みをしていること

あぶれ手当は、あくまで「働く意思と能力があるのに、仕事が見つからない」人のための給付金です。

そのため、仕事がなかった日には管轄のハローワークに直接足を運び、「今日は仕事がありませんでした。何か仕事を紹介してください」という求職の申し込み(アブレ出頭)を行う必要があります。

単に「今日は雨で現場が休みだから家で寝ていよう」と過ごした日は、失業の状態とは認められず、手当をもらうことはできません。ハローワークに行き、職業紹介を受けたけれども適当な仕事が見つからなかった(あるいは紹介された仕事を正当な理由なく断らなかった)という事実が認定されて初めて、その日の分の手当が支給されます。

あぶれ手当でもらえる金額と支給日数の目安

条件を満たして無事に受給できるとなった場合、一体いくらくらいもらえるのでしょうか。あぶれ手当の支給額は全員一律ではなく、手帳に貼られている「印紙の等級」によって変動する仕組みになっています。

1日あたりの支給額(等級別の比較表)

雇用保険印紙には、労働者に支払われる1日のお給料(賃金日額)に応じて「第1級」から「第3級」までの3つのランクが設けられています。お給料が高い仕事をした日には高い等級の印紙が貼られ、手当をもらう際の金額も高くなるという計算です。

以下の表は、令和時代における賃金日額、印紙保険料、そして支給されるあぶれ手当の目安額をまとめたものです。

(※賃金水準や支給額は毎年の厚生労働省の告示によって見直されるため、あくまで最新の目安としてご覧ください)

印紙の等級あなたの1日のお給料(賃金日額)印紙保険料(事業主+労働者負担)手当の支給額(1日あたり)
第1級11,300円以上176円約 7,500円
第2級8,200円以上 11,300円未満146円約 6,200円
第3級8,200円未満96円約 4,100円

自分がいくらもらえるのかを計算するには、前2ヶ月間に貼られた印紙の等級のうち、「どの等級が一番多く貼られているか」を確認します。例えば、第1級の印紙が15枚、第2級が11枚貼られていた場合、一番多い第1級の支給額(約7,500円)が適用されるといった具合です。

1ヶ月にもらえる最大支給日数

あぶれ手当は、仕事がなかった日すべてに対して無制限に支給されるわけではありません。1ヶ月間にもらえる日数には上限が設けられています。

基本的には、前2ヶ月間に貼られた印紙の枚数に応じて、13日分〜最大17日分が1ヶ月の支給限度日数となります。

  • 印紙が26枚〜31枚の場合:通算13日分
  • 印紙が32枚〜35枚の場合:通算14日分
  • 印紙が36枚〜39枚の場合:通算15日分
  • 印紙が40枚〜43枚の場合:通算16日分
  • 印紙が44枚以上の場合:通算17日分

例えば、週に2〜3日は日雇いの仕事をして、残りの日であぶれ手当をもらう、といった組み合わせで生活を維持していくイメージになります。

特例給付(継続して働いた場合)の仕組み

ここまで解説してきたのは、毎日ハローワークに通って手当をもらう「普通給付」という基本ルールです。しかし、日雇い労働のなかには、数ヶ月間にわたって比較的安定して仕事がある時期も存在します。

そうした方のために、「特例給付」という少し条件の異なる給付方法も用意されています。

特例給付の対象となるのは、以下の条件を満たした方です。

  • 前6ヶ月間に、雇用保険印紙が78日分以上貼られていること。
  • その6ヶ月のうち、同じ事業主のもとで継続して31日以上雇用された期間がないこと(あくまで日雇いとして色々な現場を回っている証明)。

この特例給付の最大のメリットは、毎日ハローワークに出頭しなくてもよくなる点です。4週間に1度のペースでハローワークに行き、失業の認定を受けるだけで、まとまった日数分(最大60日分程度)の手当を受け取ることができます。少しだけ一般の失業保険の受け取り方に似た、日雇い労働者にとって使い勝手の良い制度と言えます。

はじめてでも安心!あぶれ手当の申請手続きと流れ

「制度の仕組みはわかったけれど、具体的にどう動けばいいの?」と不安に感じる方に向けて、ゼロからあぶれ手当をもらうまでの実務的なステップを整理してみましょう。手続きの順番を間違えると受給できなくなる恐れがあるため、しっかりと流れを押さえておくことが大切です。

ステップ1:日雇労働被保険者手帳(白手帳)の取得

日雇いの仕事が決まったら、実際に働き始める前に、自分の住所を管轄するハローワークへ行きましょう。

【必要な持ち物】

  • 身分証明書(運転免許証、マイナンバーカードなど)
  • 印鑑
  • 写真2枚(縦3.0cm×横2.5cm、最近撮影したもの)
  • 居住地を証明する書類(住民票など。自治体やハローワークによって取り扱いが異なるため事前確認がおすすめ)
  • 日雇労働被保険者資格取得届(窓口でもらえます)

窓口で「日雇いの仕事を始めるので、手帳の交付をお願いします」と伝えると、審査を経て手帳が交付されます。この手帳は日雇い労働者としてのパスポートのようなものですから、紛失しないように大切に保管してください。

ステップ2:雇用保険印紙の貼付と消印

手帳を受け取ったら、いよいよ現場での仕事がスタートします。

日雇いで働く日には、必ずこの手帳を現場に持参してください。そして、その日の仕事が終わり、お給料を受け取るタイミング(または決められた給与支払い日)で、事業主に手帳を提出します。

事業主は、あなたの給与から労働者負担分の印紙代を天引きし、手帳の所定の欄に雇用保険印紙を貼り付け、事業所の印鑑で消印(割り印のようなもの)を押して返却してくれます。

「今日はバタバタしているから印紙はまた今度ね」と言われて有耶無耶にされてしまうと、あとで手当がもらえずに困るのはあなた自身です。手帳が返ってきたら、その場で「正しい等級の印紙が貼られているか」「消印が押されているか」を自分自身の目で確認する習慣をつけましょう。

ステップ3:ハローワークでの失業の認定と受給

2ヶ月間で26枚以上の印紙が貯まり、いざ仕事が途切れてしまった日(あぶれた日)がやってきたら、いよいよ手当の受給手続きに入ります。

  1. アブレ出頭仕事がない当日の朝、指定された時間帯(地域によりますが、午前中の早い時間帯であることが多いです)にハローワークへ行きます。
  2. 求職の申し込みと職業紹介窓口に手帳を提出し、「本日は仕事がありません」と申告します。ハローワークの担当者から、その日できる日雇いの仕事が紹介されます。もし適当な仕事が見つかれば、その現場へ働きに行きます(この場合、手当はもらえず給料をもらうことになります)。
  3. 失業の認定と手当の支給仕事が紹介されなかった、あるいは紹介されたけれど正当な理由(自身のスキルと全く合わない等)で就けなかった場合、その日は「失業」として認定されます。認定を受けると、その日の分のあぶれ手当が支給されます。指定した銀行口座に振り込まれるケースや、ハローワーク内で現金で手渡しされるケースなど、地域や時期によって支給方法は異なります。

このステップ3を、仕事がない日ごとに繰り返していくことになります。

あぶれ手当を受給する際の注意点とデメリット

あぶれ手当は非常にありがたい制度ですが、利用するにあたってはいくつか気をつけるべきポイントや、生活スタイルに影響を与えるデメリットも存在します。

不正受給に対する厳しいペナルティ

雇用保険に関わる制度全般に言えることですが、不正受給に対しては非常に厳しい罰則が設けられています。

  • 不正受給の例
    • 実際には別の現場で仕事をしてお給料をもらっているのに、ハローワークに行って「仕事がない」と嘘をつき、手当を受け取る。
    • 知り合いの事業主に頼み込んで、働いていない日の分の印紙をカラ貼りしてもらい、要件の26日分を偽装する。

こうした行為が発覚した場合、不正に受け取った手当の全額返還を求められるのは当然として、さらにその2倍の金額を納付させられる「3倍返し」と呼ばれる重いペナルティが課せられます。また、その後一定期間は手当を一切受け取れなくなるほか、悪質な場合は詐欺罪として警察に告発される可能性もあります。

「ちょっとくらいバレないだろう」という軽い気持ちが、取り返しのつかない事態を招きます。申告は必ず事実に基づいて誠実に行いましょう。

毎日ハローワークに通う必要がある?

手続きの章でも少し触れましたが、普通給付の場合、あぶれ手当をもらうためには原則として「仕事がない日は毎日」ハローワークに出向かなければなりません。

一般の会社員が失業保険をもらう場合は、月に1回の認定日に通うだけで済みますが、あぶれ手当は日々の生活保障という性質上、毎日の出頭が求められます。

ハローワークまでの交通費は自己負担となりますし、朝早くから窓口に並ぶ体力的な負担も決して軽くはありません。また、「今日は手当をもらいに行くか、それとも自分で別の派遣会社に登録して仕事を探すか」というスケジュールのジレンマに陥ることもあります。こうした日々の手間や制約があることは、制度を利用する上でのデメリットとして認識しておく必要があるでしょう。

現代の働き方とあぶれ手当の最新動向・背景事情

ここまでは制度の具体的な使い方を解説してきましたが、少し視点を広げて、なぜこのような特殊な制度が存在するのか、そして現在どのような課題を抱えているのかという背景事情にも触れておきましょう。背景を知ることで、単なる制度の暗記ではなく、社会の仕組みとしてのあぶれ手当が見えてきます。

建設業や港湾労働における歴史的背景

あぶれ手当(日雇労働求職者給付金)が創設されたのは、日本が高度経済成長期を迎える少し前の時代にさかのぼります。

当時の日本は、ビルや道路を作るための大規模な建設工事や、輸出入を支える港湾での荷役作業に、膨大な数の労働力を必要としていました。これらの現場を支えていたのが、特定の会社に縛られず日々現場を渡り歩く日雇い労働者たちでした。東京の山谷、大阪の釜ヶ崎といった街には、多くの労働者が集まる労働市場が形成されていました。

しかし、天候や景気に左右されやすい彼らの生活は非常に不安定でした。国境やインフラを作る彼らの生活を守り、社会の安定を保つためには、日々の「あぶれ」に対するセーフティネットが不可欠だったのです。こうして、雇用保険印紙という日単位で管理できる独自の仕組みを持った制度が誕生し、長年にわたって日本の発展を下支えしてきました。

多様化する働き方(スキマバイト・ウーバーイーツ等)と制度のギャップ

時代は令和に移り変わり、働き方は大きく変化しました。従来型の建設や港湾での日雇い労働者が減少する一方で、「ギグワーカー」や「スキマバイト」と呼ばれる新しい形での単発労働者が急増しています。

スマートフォン一つで空いた時間に数時間だけ働くスタイルは、学生や主婦、副業を探す会社員などに広く支持されています。しかし、先ほども解説した通り、こうした新しい働き方の多くは「業務委託」であったり「適用除外となる極めて短い労働時間」であったりするため、あぶれ手当をはじめとする既存の労働法制の保護からこぼれ落ちてしまっているのが現状です。

  • 制度と実態のズレという課題現代のギグワーカーたちは、かつての日雇い労働者と同様に「仕事がなくなれば即座に収入が途絶える」という不安定さを抱えています。しかし、昭和の時代に作られた印紙や手帳という物理的な仕組みを前提としたあぶれ手当では、デジタルで完結する現代の単発労働をカバーしきれていません。
  • 今後の労働市場における展望政府や労働行政もこの問題に無関心ではありません。フリーランス新法の成立など、企業に雇用されない働き方を保護する動きは少しずつ進んでいます。今後、雇用保険の適用範囲の拡大や、時代に合わなくなった印紙制度のデジタル化・見直しなど、現代の多様な働き方に合わせたセーフティネットの再構築が社会的な急務となっています。

あぶれ手当の現在地を知ることは、日本の労働問題の最前線を知ることでもあるのです。

あぶれ手当に関するよくある質問(Q&A)

最後に、あぶれ手当について読者からよく寄せられる疑問にお答えしていきます。

Q. あぶれ手当をもらった場合、確定申告で税金はかかりますか?

A. かかりません。あぶれ手当は非課税です。

雇用保険から支給される手当(一般の失業保険も含む)は、生活を保障するための給付金であるため、所得税や住民税の対象にはなりません。したがって、あぶれ手当でもらった金額を確定申告で申告する必要はありません。ただし、日雇いで働いて得た「お給料」については課税対象となるため、年末調整や確定申告が必要になる場合があります。

Q. ハローワークに行くための交通費は支給されますか?

A. 残念ながら交通費は自己負担となります。

アブレ出頭のために毎日ハローワークに通うバス代や電車代は支給されません。そのため、お住まいの場所からハローワークまでの距離や交通費を考慮した上で、手当をもらいに行くメリットがあるかどうかを判断する必要があります。

Q. 手帳をなくしてしまった場合はどうすればいいですか?

A. ハローワークで再交付の手続きが可能です。

万が一、日雇労働被保険者手帳を紛失してしまった場合は、速やかに管轄のハローワーク窓口に申し出てください。「日雇労働被保険者手帳滅失等届」を提出することで再交付を受けられます。手帳がないと印紙を貼ってもらえず、その期間の労働がカウントされなくなってしまうため、気づいたら放置せずにすぐ行動することが大切です。

Q. 年齢制限はありますか?高齢になっても受給できますか?

A. 原則として年齢制限はありませんが、新規取得には注意が必要です。

あぶれ手当自体には「〇歳以上は受給できない」といった一律の年齢制限はありません。しかし、65歳以上の高齢になってから「新しく」日雇労働被保険者としての適用を受けようとする場合は、一定の条件(65歳前から引き続き日雇いとして働いている等)を満たさないと手帳が交付されないケースがあります。高齢で日雇いを始めようとする方は、事前にハローワークに相談してみることをおすすめします。

日雇いで働く方のセーフティネットを正しく活用しよう

今回は、「あぶれ手当(日雇労働求職者給付金)」について、その仕組みから受給条件、手続きの流れ、そして現代の働き方とのギャップに至るまでを詳しく解説してきました。

内容をもう一度簡単に振り返ってみましょう。

  • あぶれ手当は、日雇い労働者が仕事にあぶれた日の生活を保障するための制度。
  • 受給するためには「手帳の取得」「前2ヶ月間に26日分以上の印紙」「ハローワークでの求職申し込み」という3つのハードルをクリアする必要がある。
  • もらえる金額は、働いた日の賃金に応じた印紙の等級によって決まる。
  • スキマバイトやギグワーカーなど、現代の新しい単発労働は対象外になることが多い点に注意。

「2ヶ月間で26枚の印紙」という条件は決して簡単なものではありませんし、毎日ハローワークに通う労力も必要です。しかし、条件さえ満たせば、不安定になりがちな日雇い労働者の生活を強力にサポートしてくれる頼もしい制度であることに間違いはありません。

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この記事を書いた人

ブログ運営者。日常の気づきから、言葉の意味、仕組みやトレンドまで「気になったことをわかりやすく」まとめています。調べて納得するのが好き。役立つ情報を、肩の力を抜いて発信中。

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