カメラや撮影の話題で「テレコン」という言葉を耳にしたことがある方も多いのではないでしょうか。特に野鳥撮影やスポーツ撮影など、遠くの被写体をより大きく写したいときによく登場するアイテムです。しかし「なんとなく望遠レンズをもっと大きくできるもの」というイメージで止まっている方も少なくありません。
この記事では、テレコンの基本的な仕組みからメリット・デメリット、活用シーン、選び方までをわかりやすく解説します。カメラ初心者の方から、これからテレコンの導入を検討している中級者の方にも役立つ内容です。
テレコンとは?
「テレコン」とは、正式には「テレコンバーター(Teleconverter)」の略称で、レンズとカメラボディの間に装着する光学機器です。
レンズ単体では得られる焦点距離を、テレコンを通すことで1.4倍、2倍などに拡大することができます。
例えば、300mmの望遠レンズに2倍のテレコンを装着すれば、600mm相当の画角で撮影できるようになります。これにより、被写体をより大きく引き寄せた写真が撮れるのです。
テレコンの仕組み
テレコンの内部には複数のレンズが組み合わさっており、被写体から入ってきた光を拡大してカメラの撮像素子に届けます。
拡大鏡のような役割を果たすため、焦点距離が伸びたように見える仕組みです。
ただし、単純に光を拡大するため、取り込める光の量は減少します。そのため、テレコンを装着すると「F値(絞り値)」が大きくなる点に注意が必要です。

F値が大きくなる=光の量が少なくなり、背景のボケが少なります
テレコンの種類
テレコンにはいくつかの種類があります。
倍率による種類
- 1.4倍テレコン
比較的明るさの低下が少なく、画質の劣化も抑えられるため人気があります。 - 2倍テレコン
焦点距離を大きく伸ばせますが、F値が2段分暗くなるため、十分な光量がある環境での使用がおすすめです。 - その他(1.7倍など)
メーカーによっては中間的な倍率のテレコンも存在します。
メーカー純正とサードパーティ製
- 純正テレコン
各カメラメーカーが自社レンズに最適化して設計しており、画質やAF性能の低下を最小限に抑えられます。 - サードパーティ製テレコン
タムロンやケンコーなどが提供。価格が比較的安価で幅広いレンズに装着できる一方、対応レンズや画質に差が出る場合があります。



Nikonの純正だとこの値段…
高すぎるので、短期間レンタルとかもありかもしれません
テレコンを使うメリット
焦点距離を手軽に延長できる
大型の超望遠レンズを購入せずとも、手持ちのレンズの焦点距離を伸ばすことが可能です。コストを抑えながら望遠撮影を楽しめるのは大きな利点です。
携帯性が高い
超望遠レンズはサイズも重量も大きいため、持ち運びに苦労します。その点、テレコンは小型で軽量なので、バッグに入れておけば必要なときだけ焦点距離を伸ばすことができます。
野鳥やスポーツ撮影に最適
動きの速い被写体や近づけない被写体を撮影するときに、テレコンの力は発揮されます。
テレコンのデメリット
もちろん、テレコンには注意点もあります。
明るさの低下
倍率に応じてF値が大きくなり、レンズが暗くなります。たとえばF4のレンズに2倍テレコンを装着するとF8となり、暗い場所では撮影が難しくなることがあります。
画質の低下
光を拡大する仕組み上、画質が少なからず劣化します。特に安価なテレコンや、レンズと相性が合わない場合は解像度の低下や色収差が目立つことがあります。
AF性能の低下
オートフォーカスが遅くなったり、場合によってはAFが使えなくなることもあります。これは特に暗い環境や、暗いレンズとの組み合わせで顕著に表れます。
テレコンの活用シーン
野鳥撮影
警戒心の強い鳥に近づくのは難しいため、テレコンを使うことで自然な姿を大きく撮影できます。
飛行機撮影
空を飛ぶ飛行機を遠くから狙う際、焦点距離が足りないと機体が小さく写ってしまいます。テレコンを使えば迫力のある写真に仕上がります。
スポーツ撮影
フィールド競技やモータースポーツなど、被写体までの距離が遠い場面ではテレコンが活躍します。
テレコンを選ぶときのポイント
- 対応レンズを確認する
すべてのレンズに装着できるわけではありません。メーカー公式の対応表を確認しましょう。 - 倍率と使用目的のバランス
野鳥撮影なら2倍テレコンが有効ですが、普段使いなら1.4倍のほうが画質低下を抑えられます。 - AF性能を重視するかどうか
動体撮影を多くするなら、AF性能が落ちにくい組み合わせを選びましょう。 - 画質への許容度
高画質を最優先にするなら、純正テレコンがおすすめです。
テレコンを使うときの注意点
- 三脚や一脚を活用し、ブレを防ぐ
- ISO感度を上げてシャッタースピードを確保する
- レンズの解像性能をフルに引き出すために、絞りを少し絞る(例:F8〜F11)
- 可能であればRAWで撮影して後処理で補正する
まとめ
テレコンは「望遠撮影を手軽に楽しめる便利なアクセサリー」でありながら、光量や画質の低下といった制約も持ち合わせています。
特に野鳥や飛行機、スポーツ撮影の分野では非常に重宝されるアイテムです。
自分が撮りたい被写体や撮影環境を考えたうえで、最適な倍率や組み合わせを選ぶことが大切です。レンズ資産を最大限活かしつつ、撮影の幅を広げたい方にとって、テレコンは強い味方となるでしょう。
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