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狂犬病とは?致死率ほぼ100%の感染症を正しく知る

まず最初にお伝えしておきたいのは、この記事は医療機関や専門家によるものではなく、私自身が気になって調べた内容をまとめたものです。正確な情報や診断、治療に関しては必ず厚生労働省や世界保健機関(WHO)、医療機関など信頼できる情報源を参照してください。ここで紹介する内容はあくまでも一般的な知識としてご覧ください。

狂犬病は「一度発症するとほぼ100%死に至る」といわれる非常に恐ろしい感染症です。しかし、日本では半世紀以上も発生していないため、危険性を身近に感じていない人も多いかもしれません。一方で世界では毎年数万人もの命が奪われており、決して過去の病気ではありません。この記事では、狂犬病の基本的な知識、症状、感染経路、予防方法、そして日本と世界の現状についてわかりやすく解説していきます。


目次

狂犬病とはどんな病気か

狂犬病(Rabies)は狂犬病ウイルスによって引き起こされる人獣共通感染症(動物から人に感染する病気)です。ウイルスは主に犬をはじめとする哺乳類の唾液に存在し、咬傷(咬まれること)によって人に感染します。

この病気の最大の特徴は「発症後の致死率がほぼ100%」という点です。現在の医学でも発症後の有効な治療法はなく、感染が疑われた場合は「発症する前にワクチンを接種する」ことが命を守る唯一の方法とされています。


感染経路

狂犬病は主に次のような経路で感染します。

  • 犬に咬まれることによる感染
    世界的に最も多い感染経路です。特にアジアやアフリカの一部地域では、野犬や放し飼いの犬が感染源になるケースが多く見られます。
  • 猫やコウモリなど他の哺乳類からの感染
    犬以外にも、猫、キツネ、アライグマ、コウモリなどがウイルスを保有することがあります。特に中南米ではコウモリによる感染例も報告されています。
  • 傷口や粘膜からの感染
    感染動物の唾液が目や口などの粘膜や傷口に触れることで感染する場合もあります。

ただし、人から人へ感染することは基本的にありません。


潜伏期間

狂犬病の潜伏期間(感染してから症状が出るまでの期間)は、一般的に 1〜3か月程度 といわれています。ただし、咬まれた部位やウイルスの量によっては1週間ほどで発症することもあれば、1年以上経ってから症状が現れることもあります。

潜伏期間があるため、咬まれた直後に症状がなくても油断できません。


狂犬病の症状

狂犬病の症状は進行に伴い大きく3つの段階に分けられます。

前駆期(初期症状)

  • 発熱
  • 頭痛、倦怠感
  • 咬まれた部位の痛みやかゆみ、しびれ

急性神経症状期

  • 不安感、幻覚、錯乱
  • 水を飲もうとすると喉がけいれんして飲めなくなる「恐水症」
  • 光や風にも過敏に反応する
  • 激しいけいれんや興奮状態

昏睡・死亡

  • 意識障害が進行し、昏睡状態に
  • 発症から数日で呼吸停止や心停止により死亡

このように症状は極めて重く、発症後は助かる可能性がほとんどありません。


発症後に治療できない理由

狂犬病ウイルスは神経を通じて脳に到達し、重篤な神経障害を引き起こします。いったん脳に侵入すると、免疫や薬による治療がほとんど効かなくなります。そのため「発症前にワクチンを接種してウイルスの活動を抑える」ことが唯一の治療法です。


咬まれたときの応急対応

もし海外などで狂犬病が流行している地域で動物に咬まれたり引っかかれたりした場合、すぐに以下の対応を取ることが推奨されています。

  1. 石けんと流水で傷口を15分以上しっかり洗浄
  2. 可能であれば消毒(アルコールやヨード液)
  3. できるだけ早く医療機関へ行き、ワクチン接種を受ける

咬まれてからワクチンを接種しても発症を防げる可能性が高いため、迅速な行動が命を守ります。


日本における狂犬病の現状

日本では1957年以降、国内での犬や人の狂犬病発生は確認されていません。しかし完全にリスクがゼロというわけではありません。

  • 2006年に海外で犬に咬まれた日本人2名が帰国後に発症・死亡
  • 不法に輸入されたペットが狂犬病を持ち込む可能性

このように、日本が「狂犬病清浄国」であることは事実ですが、輸入動物や海外渡航によるリスクは常に存在しています。


世界の狂犬病事情

世界では今なお、狂犬病は深刻な問題です。特にアジアとアフリカで多くの感染者が報告されています。

  • 毎年約5万〜6万人が狂犬病で死亡
  • 感染者の多くは15歳未満の子ども
  • 犬による感染が全体の約9割を占める

先進国ではワクチン接種や動物管理によって発生がほぼなくなっているものの、途上国では依然として脅威となっています。


狂犬病の予防方法

狂犬病を防ぐためには、動物と人の両面からの対策が必要です。

動物側の対策

  • 犬へのワクチン接種の徹底
  • 放し飼いを避け、飼い犬を適切に管理

人の側の対策

  • 狂犬病流行地域へ渡航する際は予防接種を検討
  • 不用意に野犬や野生動物に近づかない
  • 咬まれたらすぐに洗浄・医療機関受診

日本でも犬の登録と年1回の狂犬病ワクチン接種が法律で義務づけられています。これは万が一の侵入を防ぐための大切な制度です。


狂犬病を正しく理解して備える

狂犬病は発症すると助からない恐ろしい病気ですが、適切なワクチン接種や予防策を取れば防げる感染症でもあります。特に海外へ渡航する方や動物と接する機会が多い方は、正しい知識を持つことが大切です。

「日本ではもう出ない病気」と油断せず、世界の現状を理解して、自分や家族の安全を守るための行動を心がけましょう。

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