青いガラスに目の模様が描かれた「ナザールボンジュウ(Nazar Boncuğu)」をご存じでしょうか。トルコを訪れたことがある人や雑貨好きの人なら一度は目にしたことがあるかもしれませんが、日本ではまだ広く知られていないお守りです。実はこの小さな青い目には、古代から続く深い歴史と人々の信仰が込められています。本記事では、ナザールボンジュウの由来や意味、トルコでの使われ方、日本人にとっての魅力などを詳しくご紹介します。
ナザールボンジュウとは何か?
ナザールボンジュウ(トルコ語:Nazar Boncuğu)は、トルコやギリシャ、中東地域で広く使われている魔除けのお守りです。一般的には青いガラスに白と黒で「目」の模様が描かれており、一見すると大きな瞳がこちらを見つめているようなデザインになっています。
トルコ語で「ナザール」は「邪視(evil eye)」を意味し、「ボンジュウ」は「ビーズ」や「玉」を意味します。つまり「邪視を防ぐビーズ」という意味合いを持ちます。
このお守りが信じられているのは、人の嫉妬や羨望の視線が災いをもたらすという考え方からです。誰かの成功や幸福に対する強い嫉妬は「邪視」と呼ばれ、病気や事故、不運を引き起こすとされてきました。その邪視から身を守るために、ナザールボンジュウが用いられるのです。
ナザールボンジュウの歴史と起源
ナザールボンジュウの起源は非常に古く、紀元前のメソポタミア文明や古代エジプトにも「邪視」を恐れる文化が存在していました。特に「目」は強い力を持つ象徴と考えられ、守護や魔除けのモチーフとして用いられてきました。
トルコで現在のようなガラス細工のナザールボンジュウが作られるようになったのはオスマン帝国時代以降で、ガラス工芸技術の発展とともに広がったといわれています。現在でもトルコ西部のイズミルやクシャダスといった地域には、伝統的な工房が残っており、職人が一つひとつ手作業で作り続けています。
色に込められた意味
ナザールボンジュウといえば「青」が最も有名ですが、実は色によって意味が異なることがあります。
- 青(ブルー):最も一般的な色。空や海を象徴し、災いや邪視を跳ね返す力を持つとされる。
- 水色(ライトブルー):友情や平和、心の安定を意味する。
- 緑:自然や成長、幸運を象徴する。
- 赤:エネルギーや愛、勇気を与える色。
- 黄:健康や活力を守る意味を持つ。
特にトルコでは「青い目」が幸運や守護を意味することから、圧倒的に青色のナザールボンジュウが普及しています。
トルコでの使われ方
トルコに行くと、ナザールボンジュウは街のいたるところで見かけます。家の玄関、車のバックミラー、オフィス、赤ちゃんのベッド、さらにはアクセサリーやキーホルダーにも使われています。
たとえば、赤ちゃんが生まれると親族や友人はナザールボンジュウを贈ることが多いです。これは「赤ちゃんが羨ましがられる存在だからこそ、邪視から守る必要がある」と考えられているためです。
また、商売繁盛を願ってお店の入り口に飾ることも一般的です。大きなナザールボンジュウを店先に吊るしておくと、客や通行人の視線から悪いものを遠ざけると信じられています。
日本での認知度と魅力
日本では、ナザールボンジュウは「トルコ雑貨」や「エスニックアクセサリー」として紹介されることが多いですが、まだ一般的には知られていません。しかし、その独特のデザインや意味合いから、近年は少しずつ人気が高まっています。
特にスピリチュアルや開運グッズに興味のある人たちの間では「おしゃれでインテリアにもなるお守り」として注目されています。アクセサリーとして身につけると、シンプルな服装のアクセントになるだけでなく、「災いを避ける」という意味を持つため、心のお守りとしても役立ちます。
日本人におすすめの活用法
ナザールボンジュウは、そのまま飾っても十分に美しいですが、日本の生活スタイルに合わせた使い方もできます。
- 玄関に飾る:外から入ってくる邪気を防ぐ効果を期待。
- カバンや財布にチャームとしてつける:常に持ち歩けるお守り。
- デスクに置く:仕事場での人間関係のストレスや嫉妬から守る象徴に。
- 贈り物にする:友人や家族への誕生日プレゼントやお祝いに最適。
ナザールボンジュウと現代ファッション
最近ではナザールボンジュウをモチーフにしたアクセサリーが、トルコ以外の国々でも流行しています。ネックレスやブレスレットはもちろん、ピアスやスマホケースのデザインにも取り入れられることが増えています。
「魔除け」という意味合いを知らなくても、その鮮やかなブルーと独特のデザイン性はファッションアイテムとして魅力的です。特に夏のシーズンには、青のナザールボンジュウは爽やかさを演出してくれるため、日本人にも馴染みやすいでしょう。
ナザールボンジュウにまつわるエピソード
興味深いのは、ナザールボンジュウが「割れてしまう」ことがあります。これは単なるガラス製品の性質というだけでなく、トルコでは「持ち主に降りかかるはずだった邪視を受け止めて、守ってくれた証」と考えられています。割れたお守りは役目を果たしたとされ、感謝の気持ちを込めて処分するか、新しいものに取り替える習慣があります。
まとめ
ナザールボンジュウは、単なる観光土産や雑貨ではなく、古代から続く人々の信仰と文化が込められたお守りです。日本ではまだあまり知られていませんが、その鮮やかな青い瞳には「邪視から守る」という普遍的な願いが込められています。
日常に取り入れることで、インテリアやファッションのアクセントになるだけでなく、心を守ってくれる存在としても役立つでしょう。
日本に暮らす私たちにとっても、ナザールボンジュウは新しい「お守り文化」を体験できる魅力的なアイテムです。

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