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ギリシャ神話関係のことわざまとめ

「Ὁ Ζεύς μὲν κεραυνοῖ, ὁ ἄνθρωπος δὲ λησμονεῖ.」

(ホ・ゼウス・メン・ケライノイ、ホ・アントローポス・デ・レースモネイ)
→ 「ゼウスは雷を落とし、人は忘れる。」

解説
ゼウスは天候を司る神であり、怒ると雷を落とす。しかし人間はどんなに恐ろしい天罰を受けても、時間が経つとその教訓を忘れてしまうものだ。このことわざは、人間の記憶の儚さや、同じ過ちを繰り返すことへの警句として使われる。

「Ἀετὸς οὐδέποτε στρουθὸν γεννήσει.」

(アイトス・ウーデポテ・ストルーソン・ゲンネーセイ)
→ 「鷲は決して雀を生まない。」

解説
優れたものは優れたものを生み、卑小なものは卑小なものを生む。つまり、偉大な家系や才能ある者からは同じように優れた者が生まれるという意味だ。アポロンの血を引く英雄や、神々の子が強大な力を持つように、ギリシャ神話的な運命論にも通じることわざ。

「Μοῖραι γέλως οὐκ ἀκούουσιν.」

(モイライ・ゲロース・ウク・アクーオウシン)
→ 「運命の女神たちは笑い声を聞かない。」

解説
運命(モイライ)は厳格で容赦ない。人間がどんなに楽しそうに生きていても、運命の糸は冷徹に紡がれ、定められた死から逃れることはできない。このことわざは、運命の不可避さを表し、運命を軽んじる者への警告となる。

「Θάλασσα μεγάλη, ψυχὴ μικρά.」

(タラッサ・メガレー、プシュケー・ミクラ)
→ 「海は大きく、魂は小さい。」

解説
ギリシャ神話では、海はポセイドンの支配する無限の力を持つ存在であり、人間の力では抗えない。大自然の前で人間の存在は小さく、無力であることを示すことわざ。航海が重要だったギリシャでは、特に現実的な意味を持っていた。

「Κρόνος τὰ τέκνα ἐσθίει, καὶ ὁ χρόνος τοὺς ἀνθρώπους.」

(クロノス・タ・テクナ・エスティエイ、カイ・ホ・クロノス・トゥース・アントローポウス)
→ 「クロノスは子を喰らい、時は人を喰らう。」

解説
クロノスが自分の子供を飲み込んだ神話に由来し、時間(χρόνος, クロノス)もまた人間の命を奪い、老いと死へと導くというダブルミーニングになっている。時間の残酷さを象徴する哲学的なことわざ。

「Ὅπου Ἥλιος, ἐκεῖ καὶ σκιὰ.」

(ホプ・ヘーリオス、エケー・カイ・スキア)
→ 「太陽があるところに、影もある。」

解説
光と闇、善と悪は常に表裏一体であり、一方だけを選ぶことはできない。アポロンのように輝かしい神でさえも、予言の呪いを与えたり、怒りに駆られて残酷な仕打ちをすることがある。このことわざは、あらゆるものに二面性があることを示している。

「Ἐλπὶς Δαναΐδων πίθος ἐστίν.」

(エルピス・ダナイードーン・ピトス・エスティン)
→ 「希望はダナイデスの壺である。」

解説
ダナイデス(ダナオスの娘たち)は罪の罰として、水を汲んでは漏れる壺に注ぎ続けるという果てしない労役を課せられた。このことわざは、希望を持ち続けることの虚しさや、果てしない努力のむなしさを表している。希望があることで人は進むが、それが決して満たされない場合もある。

8. 「Ὁ Διόνυσος μὲν διδάσκει, ὁ μέθη δὲ λήθην φέρει.」

(ホ・ディオニュソス・メン・ディダスケイ、ホ・メーテー・デ・レーセン・ペレイ)
→ 「ディオニュソスは教え、酩酊は忘却をもたらす。」

解説
酒神ディオニュソスは芸術や喜びをもたらす神だが、同時に酒の過剰な酩酊は人の理性を奪い、現実を忘れさせる。酒がもたらす知恵と愚行、両方の側面を表現したことわざ。

「Ὁ Ἄρης τὸ ξίφος δίδωσιν, ἡ δὲ Νίκη τὴν κρίσιν.」

(ホ・アレース・ト・クシフォス・ディードーシン、ヘー・デ・ニーケー・テーン・クリシン)
→ 「アレスは剣を与え、ニケは勝敗を決める。」

解説
戦争神アレスは力と闘争をもたらすが、勝敗を決めるのは戦場の女神ニケ(勝利の女神)である。力を持つことと、それを使って成功することは別物であり、最終的な結果を決めるのは運命や状況次第であることを示す。

「Οὐδεὶς ἐξέρχεται ἐκ τοῦ Ἅιδου ἀζημίως.」

(ウーデイス・エクセルヘタイ・エク・トゥー・ハイドゥー・アゼーミオース)
→ 「誰も冥界を無傷では出られない。」

解説
ギリシャ神話では、一度ハデスの冥界に入ると簡単には戻れないし、戻れたとしても代償が必要になる。オルペウスがエウリュディケーを取り戻せなかったように、死や運命には絶対に抗えないことを示すことわざ。

11. 「Τὸ πεπρωμένον φυγεῖν ἀδύνατον.」

(ト・ペプローメノン・プゲイン・アドゥナトン)
→ 「運命から逃れることは不可能である。」

解説
ギリシャ神話では、運命(モイラ)は神々ですら逆らえない絶対的な力である。オイディプス王の物語のように、どんなに努力しても運命の定めは覆らないことを警告することわざ。

「Λάθε βιώσας, ἵνα μὴ οἱ θεοὶ φθονῶσιν.」

(ラテ・ビオーサス、ヒナ・メー・ホイ・テオイ・フトノーシン)
→ 「目立たず生きよ、神々が嫉妬しないように。」

解説
ギリシャ神話では、神々はしばしば人間の傲慢(ヒュブリス)を罰する。イカロスやニオベのように、成功を誇示しすぎると神々の怒りを買う。このことわざは、過度な野心や自慢を戒めるためのもの。

「Ἡ Περσεφόνη δὶς ἐράσθη, δὶς ἐχάθη.」

(ヘー・ペルセポネー・ディス・エラステー、ディス・エハテー)
→ 「ペルセポネーは二度愛され、二度失われた。」

解説
ペルセポネーはゼウスとデーメーテールの娘として生まれ、ハデスにさらわれて冥界の王妃となる。彼女は母の元へ戻るが、ザクロの実を食べたことで再び冥界へ行かなければならなくなる。このことわざは、人生には喜びと悲しみが交互に訪れることを意味している。

「Τὸ κάλλος ὀλίγον διαρκεί, ἡ ἀρετὴ δὲ αἰώνιον.」

(ト・カロス・オリゴン・ディアルケイ、ヘー・アレテー・デ・アイオーニオン)
→ 「美は短く、徳は永遠である。」

解説
アフロディーテの美しさに代表されるように、美は魅力的だが、時間とともに消えてしまう。しかし、アレテー(徳・善)は不変であり、英雄たちが永遠に称えられるように、人の本質的な価値は容姿ではなく行いによって決まるという教訓。

「Τὰ ὄρη τῶν θεῶν ἀνεβαίνειν οὐ ῥᾴδιον.」

(タ・オレー・トーン・テオーン・アネバイネイン・ウ・ライディオン)
→ 「神々の山を登るのは容易ではない。」

解説
オリュンポス山の頂には神々が住んでいるが、人間がそこにたどり着くことは極めて困難である。このことわざは、偉業を成し遂げることの難しさを表し、また傲慢になって神々の領域に踏み込もうとすると罰を受けることも暗示している。

「Ὁ Νέμεσις τάχιον διώκει ἢ ἄνεμος.」

(ホ・ネメシス・タキオン・ディオーケイ・エー・アネモス)
→ 「ネメシスは風よりも速く追いかける。」

解説
ネメシスは復讐と正義の女神であり、傲慢(ヒュブリス)な者を見逃さない。どんなに逃げようとしても、彼女の罰からは逃れられないことを表している。

「Τὰ τοῦ Ἅιδου δῶρα οὐκ ἀποδίδονται.」

(タ・トゥ・ハイドゥー・ドーラ・ウク・アポディドンタィ)
→ 「ハデスの贈り物は返せない。」

解説
死の神ハデスが与えるもの、すなわち死や冥界の運命は取り消すことができない。オルペウスのように、冥界からの帰還を望んでも、約束を破れば失うものは二度と取り戻せないことを示している。

「Ἡ Τύχη τυφλή, ἀλλ’ οἱ θεοὶ βλέπουσιν.」

(ヘー・テュケー・テュフレー、アッロイ・テオイ・ブレプーシン)
→ 「運は盲目だが、神々は見ている。」

解説
幸運の女神テュケーは気まぐれで、誰に幸運をもたらすかは分からない。しかし、ゼウスやアポロンのような神々は常に人間を見ており、最終的には正義が行われる。運に頼るのではなく、徳を積むことが重要だという教訓。

「Ὅστις Πάνα καλέσει, ἑτοίμως ἀκούσεται.」

(ホスティス・パナ・カレセイ、ヘトイモース・アクーセタイ)
→ 「パーンを呼ぶ者は、すぐに聞かされる。」

解説
牧神パーンは気まぐれで、人々が彼の名を軽々しく口にすると、恐ろしい「パニック」(彼の名に由来する)を引き起こす。このことわざは、軽率な発言や行動が思わぬ結果を招くことを警告している。

「Χείρ Διός, καὶ χείρ ἀνδρός οὐ ταὐτόν.」

(ケイル・ディオス、カイ・ケイル・アンドロス・ウ・タウトン)
→ 「ゼウスの手と人の手は同じではない。」

解説
ゼウスは最高神であり、その力は人間の力とは比べものにならない。このことわざは、神々と人間の違いを忘れず、分をわきまえるべきだという戒めである。

「Τὸ κακόν ὅπως ἄρχῃ, οὐ παύσεται.」

(ト・カコン・ホーポース・アルケイ、ウ・パウセタイ)
→ 「悪は一度始まると、止まらない。」

解説
パンドラの箱の神話のように、一度悪が解き放たれると、それを元に戻すことはできない。このことわざは、最初の選択の重要性や、小さな悪がやがて大きな災いになることを警告している。

「Ἀργὸς οὐκ ἔγνω τὸν ἰδίον κύριον.」

(アルゴス・ウク・エグノー・トン・イディオン・キュリオン)
→ 「アルゴスは己の主人を知らなかった。」

解説
アルゴスは100の目を持つ巨人で、決して眠ることがなかったが、ヘルメスの策によって欺かれ、殺されてしまった。このことわざは、自分の立場や状況を正しく認識できない者への警告として使われる。

「Κάλλιον ἄρχειν ὑπὸ σοφίας ἢ κρατεῖν ὑπὸ ἀνοίας.」

(カリオン・アルケイン・ヒポ・ソフィアス・エー・クラテイン・ヒポ・アノイアス)
→ 「知恵のもとに統治するほうが、愚かさのもとに支配するよりも良い。」

解説
アテーナーのような知恵の神は正しく統治するが、単なる力では良い統治はできない。暴君よりも賢者の支配のほうが望ましいことを示している。

「Τὰ ῥόδα τῆς Ἀφροδίτης ἀκάνθας κρύπτει.」

(タ・ロダ・テース・アプロディーテース・アカンタス・クリュプテイ)
→ 「アフロディーテの薔薇は棘を隠している。」

解説
愛と美を象徴するアフロディーテは魅力的だが、彼女に関わる者はしばしば苦しみを味わう(パリスやアドーニスの運命のように)。愛や美には危険が潜んでいることを示している。

「Οὐ πάντες ἥρωες ἐν Ἀργοῖς.」

(ウ・パンテス・ヘーロエス・エン・アルゴイス)
→ 「すべての英雄がアルゴー船に乗ったわけではない。」

解説
アルゴナウタイ(アルゴー船の乗組員)は英雄たちの象徴だが、すべての英雄がそこにいたわけではない。つまり、偉大な者は必ずしも表舞台にいるわけではなく、無名の中にも英雄はいることを意味する。

「Ὁ λύκος ἐν χιτῶνι ἀμνοῦ λύκος μένει.」

(ホ・リュコス・エン・キトーニ・アムノウ・リュコス・メネイ)
→ 「羊の衣をまとっても、狼は狼のまま。」

解説
人は見た目を変えることはできても、本質は変わらない。ギリシャ神話では、ゼウスがしばしば動物に変身しても、結局は彼の神性が現れるように、本性を隠し続けることはできない。

「Διὸς ὄμματα ὅρα πάντα.」

(ディオス・オマタ・ホラ・パンタ)
→ 「ゼウスの目はすべてを見ている。」

解説
ゼウスはオリュンポスの主神であり、彼の視線からは逃れられない。人間がどんなに隠そうとしても、神々はすべてを知っている、という警告の意味。

「Ἐκ τοῦ χάους γίγνεται τάξις.」

(エク・トゥー・カオス・ギグネタイ・タクシス)
→ 「混沌から秩序が生まれる。」

解説
ギリシャ神話では、宇宙はカオス(混沌)から始まり、やがてコスモス(秩序)が生まれた。このことわざは、混乱の中から新たな秩序が生まれることを示す。

29. 「Μὴ κρίνε ἄνδρα πρὶν ὁ Κέρβερος λαβῇ.」

(メー・クリネ・アンドラ・プリン・ホ・ケルベロス・ラベー)
→ 「ケルベロスに捕まるまでは、人を裁くな。」

解説
ケルベロスは冥界の門番であり、死者しか通れない。このことわざは、人が亡くなるまで、その生涯を正しく評価することはできないという意味。

「Ὁ πόλεμος πάντας ἴσους ποιεῖ.」

(ホ・ポレモス・パンタス・イスース・ポイエイ)
→ 「戦争はすべての者を平等にする。」

解説
戦場では王も奴隷も等しく死ぬ。アレスの戦場では、身分や富の違いは関係ないことを示している。

「Ὁ μῦθος ἐκ τοῦ ἀληθοῦς γίγνεται.」

(ホ・ミュトス・エク・トゥー・アレートゥース・ギグネタイ)
→ 「神話は真実から生まれる。」

解説
どんな神話も、元となる出来事や教訓がある。完全な虚構ではなく、歴史や教訓が基になっていることを示す。

「Νεφέλαι οὐ ποτίζουσιν δένδρα.」

(ネペライ・ウ・ポティゾウシン・デンドラ)
→ 「雲は木を潤さない。」

解説
見せかけの希望や言葉だけでは、実際の助けにはならない。実際の行動が必要だという教訓。

「Τῆς Ἀθηνᾶς χεῖρες σοφαί, τῶν ἀνδρῶν μωραί.」

(テース・アテーナース・ケイレス・ソファイ、トーン・アンドローン・モライ)
→ 「アテーナーの手は賢く、人の手は愚か。」

解説
人間の知恵は神の知恵には及ばない。アテーナーのような神々の知恵を尊ぶべきという考え方。

「Τὸ φῶς τοῦ Ἡλίου πάντα δείκνυσι.」

(ト・フォース・トゥー・ヘーリウ・パンタ・デイクヌシ)
→ 「ヘーリオスの光はすべてを照らす。」

解説
太陽神ヘーリオスの光は、隠されたものも明るみに出す。つまり、真実はやがて明らかになるという意味。

「Ἔρως τυφλός, ἀλλ’ ὁ θάνατος ὀξυδερκής.」

(エロース・テュフロス、アッロ・ホ・タナトス・オクシュデルケース)
→ 「愛は盲目だが、死は鋭く見る。」

解説
エロース(愛の神)は盲目だが、死神タナトスは人の運命を決して見逃さないことを示す。

「Ὁ Δαίμων παίζει τοῖς ἀνθρώποις.」

(ホ・ダイモーン・パイゼイ・トイス・アントローポイス)
→ 「運命の神は人を弄ぶ。」

解説
ギリシャ神話では、神々はしばしば人間を試し、苦難を与える。運命の不可解さを表す言葉。

「Οἱ θεοὶ ἀργοὺς μισοῦσι.」

(ホイ・テオイ・アルグース・ミスウシ)
→ 「神々は怠け者を憎む。」

解説
ギリシャ神話では、努力を重ねた者が英雄になれる。怠け者は神々の恩恵を受けられない。

「Ὁ Ζεύς διδάσκει διὰ κεραύνου.」

(ホ・ゼウス・ディダスケイ・ディア・ケライノウ)
→ 「ゼウスは雷で教える。」

解説
神々の教えは、時として厳しく、罰を伴うことを示している。

「Καλόν ἐστι τὸ ζῆν, ἀλλὰ κάλλιον τὸ εὖ ζῆν.」

(カロン・エスティ・ト・ゼーン、アッラ・カリオン・ト・エウ・ゼーン)
→ 「生きることは良いが、善く生きることはさらに良い。」

解説
ただ生きるだけではなく、徳を持って生きることの重要性を説いている。

「Ὅσον ὁ ἥρως, τοσοῦτον καὶ ἡ Ἀνάγκη.」

(ホソン・ホ・ヘーロース、トソウトン・カイ・ヘー・アナンケー)
→ 「英雄が大きければ、それだけ運命も強い。」

解説
偉大な英雄ほど、重い運命を背負うことを示している。ヘラクレスやアキレウスのような英雄の苦難を表す言葉。

「Τὸ ὕδωρ τοῦ Στειγὸς οὐ διαλύει ὅρκους.」

(ト・ヒュドール・トゥー・ステイゴス・ウ・ディアルーエイ・ホルクス)
→ 「ステュクスの水は誓いを解かない。」

解説
ステュクス川の水は、神々すら逆らえない誓いを結ぶもの。誓いを破れば恐ろしい罰が待つ。約束は絶対に守るべきだという意味。

「Τὸ κάλλος τῆς Ἑλένης τὸν κόσμον ἔκαυσεν.」

(ト・カロス・テース・ヘレーネース・トン・コスモン・エカウセン)
→ 「ヘレネーの美が世界を燃やした。」

解説
トロイ戦争の原因となったヘレネーの美しさは、国を滅ぼすほどの力を持っていた。美がもたらす危険を暗示することわざ。

「Οὐδεὶς ἔφυγεν τὴν Μοῖραν.」

(ウーデイス・エピュゲン・テーン・モイラン)
→ 「誰も運命から逃れられない。」

解説
ギリシャ神話の英雄たちは、どれだけ抗おうと運命には逆らえなかった。運命の不可避性を示す言葉。

「Τὸ στόμα τῆς Πυθίας διπλῆν ἀλήθειαν λέγει.」

(ト・ストマ・テース・ピュティアス・ディプレーン・アレーテイアン・レゲイ)
→ 「ピュティアの口は二重の真実を語る。」

解説
デルポイの神託はしばしば曖昧で、解釈次第で意味が変わる。真実は一つではなく、どう受け取るかが重要という教訓。

「Ποσειδῶν ἥμερος, ἀλλ’ ἡ θάλασσα ἀδάμαστος.」

(ポセイドーン・ヘーメロス、アッル・ヘー・タラッサ・アダマストス)
→ 「ポセイドーンは穏やかでも、海は手に負えない。」

解説
海の神ポセイドーンが機嫌が良くても、海自体は決して油断できない。自然の力の恐ろしさを示す言葉。

「Κάλλιον μικρὸς ἄγγελος ἢ μέγας τύραννος.」

(カリオン・ミクロス・アンゲロス・エー・メガス・テュランノス)
→ 「小さな天使は、大きな暴君より良い。」

解説
力や権力を持ちすぎることよりも、善良であることの方が価値があることを示す。

「Τὸ κέρας τῆς Ἀμαλθείας ἀεί γεμίζει.」

(ト・ケラス・テース・アマルテイアス・アエイ・ゲミゼイ)
→ 「アマルテイアの角は常に満ちる。」

解説
アマルテイアの角(豊穣の角)は無限の恵みを生み出す。豊かさと繁栄の象徴。

「Ὁ Ἑρμῆς οὐκ ἐγκαταλείπει τοὺς σοφοὺς.」

(ホ・ヘルメース・ウク・エンカタレイペイ・トゥース・ソフォウス)
→ 「ヘルメースは賢者を見捨てない。」

解説
知恵と機転を持つ者は、どんな状況でも道を切り開くことができる。

「Χρυσὸς ἐν πυρὶ δοκιμάζεται.」

(クリュソス・エン・ピュリ・ドキマゼタイ)
→ 「金は火によって試される。」

解説
本物の価値は、試練を経てこそ証明される。

「Ὁ κίνδυνος τοὺς ἥρωας γεννᾷ.」

(ホ・キンドゥノス・トゥース・ヘーロース・ゲンナ)
→ 「危機が英雄を生む。」

解説
困難な状況が、人の真価を試し、英雄を生み出すという教訓。

「Ὁ ἀνεμὸς τῆς Τύχης πνεῖ πρὸς ἄλλους ἄλλοτε.」

(ホ・アネモス・テース・テュケース・プネイ・プロス・アロウス・アロテ)
→ 「運命の風は人によって吹く方向を変える。」

解説
運は一定ではなく、時によって変わる。

「Ὁ πόθος τοῦ Ὀρφέως τὸν Ἅιδην ἐτάραξεν.」

(ホ・ポトス・トゥ・オルペオス・トン・ハイデーン・エタラクセン)
→ 「オルペウスの愛が冥界を揺るがした。」

解説
強い愛や情熱は、どんな障害をも乗り越える力を持つ。

「Ἀπὸ μικρᾶς σπινθῆρος μεγάλη πυρκαϊά.」

(アポ・ミクラス・スピンテーロス・メガレー・ピュルカイア)
→ 「小さな火花から、大火災が起こる。」

解説
些細なことが、大きな問題につながることを示す。

「Ἡ Δίκη βραδεῖα, ἀλλὰ ἀπαραμύθητος.」

(ヘー・ディケー・ブラデイア、アッラ・アパラムーテートス)
→ 「正義は遅れるが、決して慰めない。」

解説
時間がかかっても、正義は必ず果たされる。

「Τὸ δένδρον τοῦ Ἀτρέως πικροὺς καρποὺς φέρει.」

(ト・デンドロン・トゥ・アトレオス・ピクロウス・カルポウス・ペレイ)
→ 「アトレウスの木は苦い実を結ぶ。」

解説
アトレウス王家のように、罪深い血筋は苦しい運命をもたらす。

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