「フィンガーズクロスド(fingers crossed)」という表現を聞いたことがありますか?
直訳すると「指を交差させる」ですが、これは英語圏でよく使われる「願掛け」のジェスチャーを表します。映画やドラマで登場人物が人差し指と中指をクロスさせながら「Fingers crossed!」と言うシーンを見たことがある方も多いでしょう。

この記事では、このジェスチャーの歴史的な由来から文化的背景、現代における使い方、そして日本における類似表現との比較まで、幅広く解説していきます。英語学習者や海外文化に興味のある方にとっても、きっと役立つ知識になるはずです。
フィンガーズクロスドの基本的な意味
「fingers crossed」は、願いごとが叶うことを祈る際に用いられる表現です。
- 手の形:人差し指と中指を交差させる
- 意味:幸運を祈る、成功を願う
- 使用場面:試験の前、スポーツの試合、重要な交渉や面接の前など
たとえば、英語圏では友人が試験を受ける前に「Good luck! Fingers crossed!(幸運を祈ってるよ、指を交差させておくね!)」と言うことがあります。
このジェスチャーは言葉に頼らず「願っているよ」という気持ちを表現できるため、子どもから大人まで広く使われています。
ジェスチャーの由来と歴史
キリスト教に由来する説
もっとも有力な説は、フィンガーズクロスドがキリスト教の象徴「十字架」を表しているというものです。初期のキリスト教徒たちは、迫害の時代に互いの信仰心を密かに確認するために指を交差させて祈りを共有したと言われています。十字架を描くことは難しくても、指を交差させれば簡易的な「十字」を形づくることができたのです。
幸運の象徴としての広まり
やがてこの仕草は「神の加護を得る」「幸運を招く」という意味合いに発展し、祈りの形から願掛けのジェスチャーへと変化していきました。特に中世ヨーロッパでは、迷信やお守りと結びつき、「フィンガーズクロスド」が日常生活の中に根づいていったと考えられています。
英語表現としての「fingers crossed」
フレーズの使い方
英語では単にジェスチャーをするだけでなく、言葉として「fingers crossed」が頻繁に使われます。
例文:
- I’ll keep my fingers crossed for you.
(あなたのために祈ってるよ/うまくいくことを願ってるよ) - Fingers crossed, the weather will be nice tomorrow.
(明日天気が良くなりますように)
特にSNSやメッセージのやりとりでは、「🤞(クロスした指の絵文字)」がよく使われています。これはまさに「fingers crossed」をビジュアルで表現したものです。
嘘をつくときのフィンガーズクロスド?
実は、フィンガーズクロスドにはもう一つの意味があります。
欧米の子どもたちの間では「指を背中の後ろでクロスさせると、嘘をついても許される」という迷信が存在するのです。これは「十字架に守られているから罪にならない」という発想に由来していると考えられています。
ただし、これはあくまで遊びや子ども同士のやりとりの中での習慣であり、大人が公の場で使うことはほとんどありません。とはいえ映画やドラマなどに登場することがあるため、知っておくと理解が深まります。
日本の文化における類似表現
日本には「フィンガーズクロスド」にぴったり同じものはありませんが、近しい文化的習慣があります。
- 「神社にお参りして合格祈願」
- 「試験の前に鉛筆に『合格』と書く」
- 「四葉のクローバーを探す」
いずれも「幸運を祈る」「縁起を担ぐ」といった共通点があります。
一方で、ジェスチャーそのものを用いる習慣は少なく、むしろ言葉やお守りなどで願掛けをする傾向が強い点が違いと言えるでしょう。
現代社会での使い方
現代では「fingers crossed」は日常会話からビジネスシーン、さらにはデジタルコミュニケーションまで幅広く使われています。
日常生活
- 試験や面接の前に友人に向けて
- スポーツ観戦で応援するとき
- 宝くじや抽選結果を待つとき
ビジネスシーン
- プロジェクトの成功を祈って
- 取引が成立することを願うとき
- チーム内でポジティブな雰囲気を作りたいとき
デジタルコミュニケーション
- SNSの投稿で「🤞」を添える
- メッセージアプリで「Fingers crossed!」と書く
これらの場面では、言葉だけでなく絵文字を使うことで親しみやすさや気持ちが伝わりやすくなります。
まとめ
「フィンガーズクロスド(fingers crossed)」は、英語圏で広く使われている願掛けのジェスチャーであり、幸運を祈る表現です。その由来はキリスト教の十字架にさかのぼり、長い歴史を経て今日では日常的に使われるポジティブなシンボルとなっています。
- 指を交差させる仕草=「幸運を祈る」サイン
- 言葉として「fingers crossed」もよく使われる
- 嘘をつくときの迷信的な意味もある
- 日本では神社のお参りやお守りと同じような願掛け文化が存在
このジェスチャーを知っていると、海外の人とのコミュニケーションで共感を生みやすくなります。ちょっとした会話の中で使うだけでも、親しみやすさが増すでしょう。
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