Nikonのデジタルカメラを語るうえで欠かせない「画像処理エンジン」。特に近年は、EXPEED 6とEXPEED 7という2つのエンジンを搭載したモデルが人気を集めています。しかし、カメラ選びにおいて「どちらを選ぶべきか」「両者にどんな違いがあるのか」と悩む方も多いでしょう。この記事では、EXPEED 6とEXPEED 7の違いを技術面・実用面から詳しく解説し、初心者にもわかりやすく最新Nikonカメラの選び方をアドバイスします。
画像処理エンジンEXPEEDとは?その役割を知ろう
カメラの画像処理エンジンは、イメージセンサーが捉えた光の情報を、美しい写真や映像データへと変換する「頭脳」のような存在です。
画像のノイズ低減、色の再現性、画像記録や連写性能、オートフォーカスの速度や精度、そして動画機能の質にも大きく関わります。言い換えれば、カメラの基本性能や使い心地の大部分を支えているのがこのエンジンです。
Nikonの「EXPEED(エクスピード)」シリーズは、2007年に登場して以来、世代ごとに進化を遂げてきました。下記は主な世代と搭載機種、登場時期の一覧です。
| 世代 | 主な搭載機種 | 発売年 |
|---|---|---|
| EXPEED | D3, D300 | 2007年 |
| EXPEED 2 | D7000, D3100 | 2010年 |
| EXPEED 3 | D800, D4 | 2012年 |
| EXPEED 4 | D750, D810, Df | 2013年 |
| EXPEED 5 | D850, D500, Z6, Z7 | 2016年 |
| EXPEED 6 | Z6II, Z7II, Z50, Zfc, Z5等 | 2018年〜 |
| EXPEED 7 | Z9, Z8, Zf | 2021年〜 |
それぞれの進化にはどのような特徴があるのでしょうか。ここからはEXPEED 6、EXPEED 7それぞれの特徴を詳しく解説していきます。
EXPEED 6の特徴――バランスの良い高画質エンジン
EXPEED 6は2018年以降のNikonミラーレスおよび一眼レフの主力エンジンで、Z6、Z7、Z50、Zfc、Z5、Z6II、Z7IIといった多くの人気モデルで採用されています。
バランスの取れた画像処理性能
- 高解像度対応
2000万画素から4500万画素級の高解像度センサーをスムーズに処理。ノイズを抑えつつ、Nikonらしい自然な色合いを実現します。 - 高感度耐性
暗所撮影でもディテールをしっかり残しながらノイズを低減。夜景や屋内撮影でも頼れる画質です。 - 高速連写
Z6なら約11コマ/秒、Z50では最大14コマ/秒と、日常のあらゆるシーンで活躍できる連写性能を備えています。 - 4K動画記録
4K UHD(30p/25p/24p)動画にも対応し、スチルだけでなく動画撮影も楽しめます。 - 豊富なピクチャーコントロール
独自の色表現やトーン調整ができるので、表現の幅が広がります。
AF性能と実用性
EXPEED 6搭載機は、Zシリーズ以降で劇的に進化した「像面位相差AF」や「瞳AF」「動体追従AF」など、高精度なオートフォーカス機能を搭載。動く被写体や人物ポートレートにも十分対応できます。ただし、AIによる被写体認識といった次世代のAF機能については、後継のEXPEED 7搭載機が一歩先を行きます。
EXPEED 7の特徴――飛躍的な進化を遂げた最先端エンジン
EXPEED 7は2021年登場のNikonフラッグシップ「Z9」を皮切りに、Z8やZfなど最新のハイエンドモデルに採用されています。その進化はEXPEED 6から一気に加速。カメラ性能の新たな基準を打ち立てています。
圧倒的な処理スピードと高性能
- EXPEED 6の約10倍の処理能力
公式発表でもEXPEED 6比10倍とされる処理速度で、膨大なデータも瞬時に処理。RAWデータ連写や大容量バッファ、超高速データ転送も余裕です。 - RAW・JPEGの超高速連写
Z9はRAWで20コマ/秒、JPEG(11Mサイズ)なら最大120コマ/秒という驚異的な連写性能を誇ります。決定的瞬間を逃しません。 - 8K・4K 120pなど動画性能の大幅向上
Z9やZ8では8K 30p、4K 120pといったハイエンド映像記録が可能。映像制作のプロも満足できるスペックです。
AI時代のAF性能と新機能
- AIディープラーニングによる被写体認識AF
人物・動物・車・飛行機・自転車・電車など、多彩な被写体をAIが自動検出。AF精度と追従性が格段にアップしています。 - 強化された瞳AF・顔認識AF
ポートレートやスナップ撮影でも、被写体の目や顔をしっかり認識してフォーカス。失敗が激減します。 - 広範囲ワイドエリアAF
より広い範囲を高速・高精度でフォーカスできるため、スポーツや野鳥など動体撮影でも威力を発揮します。
静音・メカシャッターレスの新体験
- 完全電子シャッター搭載
Z9は機械式シャッターを完全廃止。耐久性、静音性に優れ、無振動・無音での撮影が可能になりました。
本体だけで多彩な画像編集が可能
- 高機能なカメラ内RAW現像
RAW現像や色調整など、これまでPCで行っていた編集作業がカメラ本体だけで完結。撮影現場で即座にクオリティの高い作品づくりができます。
EXPEED 6とEXPEED 7の違いを徹底比較
| 特徴 | EXPEED 6 | EXPEED 7 |
|---|---|---|
| 処理速度 | 高速だが、EXPEED 7より劣る | EXPEED 6の約10倍、超高速 |
| 連写性能 | 最大14コマ/秒(Z50等) | 最大120コマ/秒(Z9: JPEG, 11M) |
| 動画機能 | 4K 30pまで | 8K 30p、4K 120p対応 |
| AI被写体認識 | 簡易的(瞳AF等) | AIディープラーニングによる多被写体自動認識 |
| バッファ容量 | 標準的 | 非常に大容量 |
| シャッター方式 | メカ・電子併用 | 完全電子シャッター対応(メカ廃止) |
| 画像編集機能 | 基本的なカメラ内RAW現像 | 高機能な本体内編集が可能 |
| 主な搭載機種 | Z6II, Z7II, Z50, Zfc, Z5など | Z9, Z8, Zfなど |
EXPEED 7はEXPEED 6から“1世代分”の進化にとどまらず、AI・データ処理・連写・動画・操作性などあらゆる面で大幅な飛躍を果たしています。
どちらを選ぶべき?EXPEED 6/EXPEED 7の選び方ガイド
EXPEED 6搭載機種が向いている人
- 高画質・高感度性能をバランスよく楽しみたい
- コストパフォーマンスを重視する
- 日常のスナップや風景、ポートレートがメイン
- 軽量・コンパクトなカメラが欲しい
- 超高速連写や8K動画は不要
Z6IIやZ50、Zfcは、趣味の写真から本格的な作品づくりまで十分な性能があり、「初めてのNikonミラーレス」にもぴったりです。特に日常的な撮影や旅行には、取り回しやすさと画質のバランスが高く評価されています。
EXPEED 7搭載機種が向いている人
- スポーツ、野鳥、飛行機など動きの速い被写体を撮影したい
- プロやハイアマチュアとして、最先端の性能・信頼性を求める
- AI被写体認識など最新のAF機能を使いたい
- 8Kや4K 120p動画など映像制作にも挑戦したい
- 長時間・大容量の連写や編集をしたい
Z9やZ8、Zfは、Nikonの現時点での最高峰。プロの現場はもちろん、将来を見据えて「長く安心して使いたい」という方にもおすすめです。
具体的な選び方のヒント
カメラ選びは「性能の高さ=最適解」とは限りません。用途やライフスタイル、予算、撮りたい被写体によって「最適な一台」は人それぞれ違います。
- 予算や使用頻度で選ぶ
日常の記録や趣味レベルならEXPEED 6搭載機で十分。コスパとバランスの良さが魅力です。 - 表現の幅や将来性で選ぶ
本格的な作品づくりやプロ志向、映像制作も視野に入れるなら、EXPEED 7搭載機がおすすめです。 - AFや連写性能にこだわるなら
動体撮影や、ピント精度・追従性が最重要ならEXPEED 7一択。被写体認識の幅が大きく違います。 - コンパクトさや携行性を優先
旅行や日常スナップが多い方は、軽量なEXPEED 6搭載モデルがベターです。
今後のNikonカメラの動向とEXPEEDエンジンの未来
今後もNikonはEXPEEDエンジンの進化とともに、さらなる高性能化を進めていくと考えられます。
Z9・Z8で培われたEXPEED 7の技術は、将来的に普及モデルにも波及していく可能性が高く、今後もAIや高速処理、動画機能の強化が期待されています。
カメラの進化がもたらすのは単なる「スペックアップ」だけではありません。
「どんなシーンでも思い通りの写真が撮れる」「創造力をより自由に発揮できる」という体験そのものが変わる時代になってきています。
まとめ
EXPEED 6とEXPEED 7は、どちらもNikonのカメラを支える優れた画像処理エンジンです。
EXPEED 6はバランスの良さとコストパフォーマンスが光り、趣味から本格撮影まで幅広く対応。一方EXPEED 7は、AIや高速処理、動画、操作性などプロユースを見据えた最先端のエンジンとなっています。
カメラ選びで迷ったときは、「自分がどんな写真や動画を撮りたいのか」「どんな場面で使いたいのか」をイメージしながら、自分に合った1台をじっくり選んでみてください。最適なカメラと出会えれば、写真や映像の世界はさらに広がっていきます。

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