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フォントライセンス違反を防ぐために知っておきたいこと

フォントは、私たちが日常的に使うパソコンやスマートフォン、印刷物、ウェブサイトなど、あらゆる場面で目にするものです。しかし、その利用には意外と多くのルールや制限があることをご存知でしょうか?
「一瞬でも迷ったら、必ずフォントライセンスを扱う会社に相談する」――これは、フォント利用におけるトラブルを未然に防ぐための最善策です。本記事では、フォントの基礎知識から、違反が発生しやすいケース、そして安全に利用するためのポイントまで、初心者にもわかりやすく解説します。


目次

フォントとは

まず、「フォント」とは何かを正しく理解しておきましょう。
フォントとは、「画面に表示したり、書籍など紙面に印刷したりするためにコンピュータ上で利用できるようにした書体データ」を指します(Wikipediaより)。
つまり、単なる「文字のデザイン」ではなく、コンピュータで文字を表示・印刷するためのデータそのものがフォントです。

このフォントデータを利用するには、原則として権利者(フォントメーカーやデザイナー)からの使用許諾、つまり「ライセンス」が必要です。
無料で配布されているものや、OSに標準搭載されているものもありますが、利用目的や方法によっては追加の許可やライセンス購入が必要になる場合があります。


何をするとだめなのか

フォントの利用で最も注意すべきなのは、「許諾を得ていない環境にフォントファイルを入れること」です。
たとえば、以下のような行為がライセンス違反となる可能性があります。

  • フォントファイルを自分のパソコン以外の場所(USBメモリやクラウドストレージ、開発サーバなど)にコピーして共有する
  • 許可されていない人数や台数でフォントを利用する
  • 外部の業者やフリーランスに開発を委託した際、フォントファイルを一緒に渡してしまう

フォントファイルは、通常「%windows%Fonts\」フォルダにインストールすることで利用できますが、ファイル自体を簡単にコピー・移動できてしまうため、意図せず違反行為に繋がることが多いのです。


どういう時に違反が発生しやすいか

フォントライセンス違反が発生しやすいのは、主に以下のようなケースです。

開発資源の中にフォントファイルを格納して共有

開発プロジェクトで、ソースコードや画像と一緒にフォントファイルをリポジトリや共有フォルダに入れてしまうことがあります。
この場合、ライセンスで許可された台数やユーザー数を超えて利用されるリスクが高まります。
また、フォントファイルを格納する場所自体にもライセンスが必要な場合があるため、注意が必要です。

外注や委託開発時のトラブル

開発の一部を外部に委託した場合、フォントライセンスは「許諾された会社」にのみ適用されることがほとんどです。
外注先が別途ライセンス契約を結んでいなければ、たとえフォントを直接使わない作業であっても、開発環境にフォントファイルが混入した時点で違反となります。

知らない間に違反してしまう

「自分はフォントを使っていない」と思っていても、プロジェクトに含まれていたり、他のメンバーが無断で追加していたりすることも。
特に複数人で作業する場合や、外部とデータをやり取りする場合は、フォントファイルの管理を徹底する必要があります。


Windowsの標準フォントなら安全?

「Windowsに最初から入っているフォントなら、自由に使っても大丈夫」と思いがちですが、実はそうとは限りません。

Windows 10のフォントライセンス例

Microsoft公式の「Font List Windows 10 – Typography」や「Font redistribution FAQ」には、以下のような記載があります。

  • 印刷物や画像、動画、Webサイトの表示:制限なし(自由に利用可能)
  • Webサーバからのフォント配布:NG(別途ライセンスが必要)
  • フォントデータの再配布:NG
  • Word、PowerPoint、PDF等のドキュメント利用:OK
  • ドキュメントへのフォント埋め込み:OK
  • ゲームやアプリケーション、デバイスへの埋め込み:NG(別途ライセンスが必要)
  • フォントデータの改変:NG

つまり、「印刷」や「画像化」して使う分には問題ありませんが、フォントファイル自体を他人に渡したり、アプリやゲームに埋め込んだりする場合は、追加のライセンスが必要です。

具体例

  • OKな使い方
  • チラシやポスター、書籍などの印刷物に使う
  • 画像や動画のテキストとして使う
  • Webサイトの表示用に使う(ただしWebフォントとして配布はNG)
  • WordやPDFなどのドキュメント作成
  • NGな使い方
  • フォントファイルをWebサーバやアプリに組み込んで配布
  • ゲームやアプリケーションにフォントデータを埋め込む
  • フォントファイルを改変して再配布

どうしたら安全なの?

フォントライセンス違反を防ぐためには、以下のポイントを押さえておきましょう。

1. 利用目的を明確にする

まず、「何のために」「どのように」フォントを使うのかをはっきりさせましょう。
印刷物や画像、動画、Webサイトの表示用であれば、標準フォントやフリーのフォントでも問題ない場合が多いです。
一方、アプリやゲーム、Webフォントとして配布する場合は、必ずライセンスを確認しましょう。

2. フォントライセンスを扱う会社に相談する

少しでも迷ったら、必ずフォントメーカーや販売代理店に相談しましょう。
「この用途で使っても大丈夫ですか?」と問い合わせることで、後々のトラブルを防げます。
特に、開発環境や外注先での利用、複数人での共有など、複雑なケースでは専門家の意見が不可欠です。

3. 必要なライセンス数を把握し、購入する

利用する人数や台数、設置場所に応じて、必要なライセンス数を正確に把握しましょう。
「1台につき1ライセンス」「1ユーザーにつき1ライセンス」など、フォントによってルールが異なります。
また、クラウドやリモート環境での利用も、別途ライセンスが必要な場合があります。

4. フォントファイルの管理を徹底する

プロジェクトや開発資源の中に、無断でフォントファイルを格納しないようにしましょう。
共有フォルダやリポジトリにフォントファイルを入れる場合は、必ずライセンスを確認し、管理責任者を決めておくことが大切です。

5. 外注や委託先にもライセンスの確認を徹底する

外部に開発を依頼する場合は、必ず「フォントライセンスの有無」を確認しましょう。
外注先が独自にライセンスを取得する必要がある場合も多いので、契約書や仕様書に明記しておくと安心です。


RT Fontというのがある

「RT Font」とは、特定の用途や環境で利用できるように設計されたフォントライセンスの一種です。
たとえば、ゲームやアプリケーションに組み込むことを前提とした「ランタイム(RT)ライセンス」などが該当します。

RT Fontの特徴

  • ゲームやアプリケーションにフォントを組み込んで配布できる
  • 利用範囲や配布方法が明確に定められている
  • 通常のデスクトップライセンスとは異なる契約が必要

RT Fontを利用する場合も、必ずライセンス内容を確認し、必要に応じて販売元やメーカーに相談しましょう。


まとめ:迷ったら必ず相談を

フォントの利用は、意外と細かいルールや制限が多く、知らず知らずのうちに違反してしまうことも少なくありません。
特に、開発や外注、複数人での利用など、複雑なケースでは注意が必要です。

結論としては、「一瞬でも迷ったら、必ずフォントライセンスを扱う会社に相談する」ことが一番の安全策です。
後から違反を指摘されてトラブルになる前に、しっかりと確認・相談し、必要なライセンスを取得しておきましょう。


よくある質問(FAQ)

Q. 無料フォントなら何に使っても大丈夫?

A. 無料フォントでも、利用規約やライセンスが定められています。商用利用や再配布、アプリへの組み込みなど、用途によっては制限がある場合が多いので、必ず規約を確認しましょう。

Q. フォントを画像化して使うのは問題ない?

A. ほとんどの場合、画像や印刷物として使う分には問題ありません。ただし、フォントデータ自体を配布したり、改変したりするのはNGです。

Q. PDFやWordにフォントを埋め込むのは?

A. 一般的には問題ありませんが、埋め込みを禁止しているフォントも一部存在します。念のため、利用するフォントのライセンスを確認しましょう。

Q. フォントファイルをクラウドストレージで共有してもいい?

A. ライセンスで許可されていない場合はNGです。共有する人数や場所、方法によっては追加のライセンスが必要になることもあります。

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