賃貸物件に住んでいると、「契約更新」という言葉を目にする機会が多くあります。
その中でも特に混同されやすいのが「法定更新」です。
更新料が発生するのか、いつまで住めるのか、大家さんから急に退去を求められることはないのかなど、不安を感じる方も少なくありません。
この記事では、法定更新の基本的な意味から、合意更新との違い、借主・貸主それぞれの立場での注意点まで、初心者の方にもわかりやすく解説します。
法定更新とは何か
法定更新とは、賃貸借契約の契約期間が満了した後も、一定の条件を満たすことで、法律の定めにより自動的に契約が更新される仕組みのことです。
主に「普通借家契約」において適用され、借地借家法という法律に基づいています。
通常、賃貸借契約には「契約期間」が定められています。たとえば「2年間」といった期間です。この期間が満了すると、原則として契約は終了しますが、貸主(大家)から正当な理由をもって解約の申し入れがなされない場合、または借主が引き続き使用を続けている場合には、契約は終了せず、法定更新が成立します。
つまり、法定更新とは「話し合いや書面での更新手続きをしなくても、法律によって契約が続く状態」と言えます。
法定更新が適用される契約の種類
賃貸借契約にはいくつかの種類がありますが、法定更新が適用されるかどうかは契約形態によって異なります。
普通借家契約の場合
一般的な賃貸住宅の多くは「普通借家契約」です。この契約では、借主の居住の安定を重視する考え方が採られており、法定更新が認められています。
契約期間満了時に、以下のような状況であれば法定更新となります。
- 貸主から期間満了前に「正当事由」を伴う解約通知がない
- 借主が引き続き賃料を支払い、住み続けている
この場合、特別な手続きをしなくても、契約は自動的に継続します。
定期借家契約の場合
一方、「定期借家契約」では法定更新はありません。
定期借家契約は、契約期間が満了すると必ず終了する契約で、更新という概念自体が存在しません。再度住み続けるには、新たに契約を結び直す必要があります。
そのため、「法定更新」という言葉は、基本的に普通借家契約を前提とした制度だと理解しておくとよいでしょう。
法定更新と合意更新の違い
賃貸契約の更新には、「法定更新」と「合意更新」の2種類があります。違いを整理しておきましょう。
合意更新とは
合意更新とは、貸主と借主が話し合い、双方が合意したうえで契約を更新する方法です。
更新契約書を作成し、更新料の支払いが必要になることもあります。
特徴としては次のような点が挙げられます。
- 更新期間が明確に定められる(例:さらに2年間)
- 更新料の支払いが発生する場合がある
- 契約条件を一部変更できる可能性がある
法定更新との主な違い
法定更新と合意更新の違いを簡単にまとめると、次のようになります。
- 手続き
合意更新:書面や合意が必要
法定更新:特別な手続きは不要 - 更新後の期間
合意更新:契約書に明記された期間
法定更新:期間の定めのない契約になる - 更新料
合意更新:発生することが多い
法定更新:原則として発生しない
この「更新後は期間の定めがなくなる」という点が、法定更新の大きな特徴です。
法定更新後の契約期間はどうなるのか
法定更新が行われると、契約は「期間の定めのない賃貸借契約」に移行します。
これは、いつまでという期限が明確に決まっていない状態を意味します。
ただし、無期限だからといって、永遠に住み続けられるわけではありません。
貸主・借主のどちらからでも解約の申し入れは可能で、それぞれ次のようなルールがあります。
借主から解約する場合
借主は、原則として「解約の申し入れから1か月(または契約書で定められた期間)」が経過すれば、契約を終了させることができます。
一般的には、柔軟に退去できる点が借主にとってのメリットです。
貸主から解約する場合
貸主が解約を申し入れる場合は、正当事由が必要となります。
正当事由とは、たとえば次のような事情です。
- 建物の老朽化が著しく、建て替えが必要
- 貸主自身や家族が居住する必要がある
- 借主との信頼関係が破壊されている
さらに、原則として6か月以上前に解約の通知を行う必要があります。
この点からも、法定更新は借主保護の色合いが強い制度だと言えます。
法定更新のメリットとデメリット
法定更新には、借主・貸主それぞれにメリットとデメリットがあります。
借主にとってのメリット
借主側の主なメリットは次のとおりです。
- 更新手続きが不要で、そのまま住み続けられる
- 更新料がかからないケースが多い
- 貸主から簡単に解約されにくい
特に、更新料が不要になる点は、経済的な負担を抑えたい方にとって大きな利点です。
借主にとってのデメリット
一方で、次のような点には注意が必要です。
- 契約書上の条件が曖昧になることがある
- 家賃改定などの交渉が起こりやすくなる
- 「更新した」という実感がなく、不安を感じる人もいる
貸主にとってのメリット・デメリット
貸主にとっては、借主が安定して住み続けてくれるというメリットがある一方、簡単に契約を終了できないというデメリットもあります。
そのため、貸主は合意更新を希望し、更新料を設定するケースが多いのが実情です。
法定更新になるかどうかの判断ポイント
実際に自分の契約が法定更新になるかどうかを判断するには、次の点を確認しましょう。
- 契約書に「普通借家契約」と記載されているか
- 定期借家契約である旨が明記されていないか
- 契約期間満了前に、貸主から正式な解約通知があったか
これらを確認することで、更新の扱いをある程度判断できます。
不明点がある場合は、不動産会社や専門家に相談するのも一つの方法です。
まとめ:法定更新は借主を守るための制度
法定更新とは、普通借家契約において、契約期間満了後も一定の条件下で自動的に契約が継続される制度です。
手続き不要で更新料もかからないケースが多く、借主の居住の安定を守る重要な仕組みと言えます。
ただし、すべての契約に適用されるわけではなく、定期借家契約では法定更新はありません。
自分の契約内容を正しく理解し、更新時期が近づいたら早めに確認しておくことが大切です。

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