カメラを使って写真を撮っていると、「F値」という言葉を必ず目にします。レンズの設定画面や、撮影モードをいじると出てくる数値ですが、「結局どういう意味なの?」「数値が大きくなるとどうなるの?」と疑問に思う方も多いのではないでしょうか。
この記事では、F値の基本から、数値が大きくなると写真にどんな影響があるのかまで、初心者にもわかりやすく解説していきます。風景撮影やポートレート撮影など、シーンに合わせた活用方法も紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
F値とは何か?
F値(絞り値とも呼ばれます)とは、レンズの「絞り」の開き具合を数値で表したものです。
「絞り」とは、レンズの中にある羽根のような仕組みで、これを開いたり閉じたりすることで、カメラに入る光の量を調整できます。
- F値が小さい(例:F1.8、F2.8)
→ 絞りが大きく開いている状態。たくさん光が入る。 - F値が大きい(例:F8、F11、F16)
→ 絞りが小さく閉じている状態。入る光の量が少なくなる。
つまり、F値は「どれだけ光を取り込むか」をコントロールする大切な数値なのです。
F値が大きくなるとどうなる?
F値が大きくなる(絞りを絞る)ことで、写真には主に次のような変化が起こります。
光の量が少なくなる
F値を大きくすると絞りが閉じるため、カメラに入る光の量が減ります。その結果、写真は暗くなりやすくなります。
暗いシーンでF値を大きくすると、ブレやノイズが増えやすくなるので注意が必要です。
ピントが合う範囲(被写界深度)が広がる
F値を大きくすると、手前から奥までピントが合いやすくなります。これを「被写界深度が深くなる」と言います。
例えば、風景写真では全体をくっきり写したいことが多いため、F8やF11といった大きめのF値がよく使われます。
シャッタースピードが遅くなる傾向にある
F値を大きくすると光が入りにくくなるため、適正な明るさを保つためにシャッタースピードが遅くなります。三脚を使わないとブレやすいので、夜景や長時間露光撮影では三脚が必須となります。
F値の大きさと写真の違いを具体例で説明
ポートレート撮影
- F値が小さい(例:F1.8)
→ 背景が大きくボケて、人物が際立つ。被写体を強調したいときに最適。 - F値が大きい(例:F8)
→ 背景まで比較的ハッキリ写る。人物と背景の両方をしっかり見せたいときに便利。
風景撮影
- F値が小さい(例:F2.8)
→ ピントが合う範囲が狭く、手前か奥のどちらかしかくっきり写らない。 - F値が大きい(例:F11)
→ 遠くの山から手前の草までシャープに写せる。広がりのある風景を撮るときに使う。
夜景撮影
- F値が小さい
→ 短いシャッタースピードでも光を多く取り込めるが、ピント範囲は狭い。 - F値が大きい
→ 光の点が星のようにきらめく(光芒効果が出る)。ただし光量が少なくなるので長時間露光が必要。
F値を決めるときのポイント
- 明るさとブレのバランスを考える
F値を大きくすると暗くなるため、シャッタースピードやISO感度とのバランスが重要です。
例えば、F11に設定してもシャッタースピードが遅すぎれば手ブレしてしまいます。 - 被写体やシーンに合わせて選ぶ
- 人物を撮るなら背景をぼかせる小さいF値
- 風景を撮るなら全体にピントが合う大きいF値
というように目的に応じて選びましょう。
- レンズの特性を知る
レンズによっては、F値を極端に大きくすると回折現象(光が回り込むことでシャープさが失われる)が起きます。一般的にはF8〜F11あたりがもっとも解像感が高いと言われています。
まとめ
- F値とは、レンズの絞りの開き具合を表す数値。
- F値が小さい → 明るく、背景がボケやすい。
- F値が大きい → 暗くなるが、ピントが合う範囲が広がる。
- 風景撮影や集合写真では大きいF値、ポートレートや夜のスナップでは小さいF値が活躍。
F値は、写真の表現を大きく左右する大切な要素です。シャッタースピードやISO感度と組み合わせてコントロールすれば、思い通りの一枚が撮れるようになります。ぜひ、実際に撮影しながらF値の効果を体感してみてください。
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