Excelは、日々の業務やデータ管理、分析など、さまざまな場面で活用されている表計算ソフトです。その中でも「関数」は、作業を効率化し、正確な集計や分析を行うために欠かせない機能です。しかし、関数の種類が多く、どれを使えばよいのか迷ってしまう方も多いのではないでしょうか。
この記事では、Excelでよく使われる代表的な関数を、初心者の方にもわかりやすく一覧でご紹介します。それぞれの関数の概要や使い方のポイントも解説しますので、ぜひ日々の業務や学習にお役立てください。
基本的な関数
Excelの基本となる集計や計算に使う関数です。まずはこのあたりから覚えておくと、さまざまな場面で役立ちます。
関数名 | 機能の概要 |
SUM | 指定した範囲の合計を求める |
AVERAGE | 指定した範囲の平均値を求める |
COUNT | 範囲内の数値が入力されているセルの個数を数える |
COUNTA | 範囲内の空白でないセルの個数を数える |
MAX | 範囲内の最大値を求める |
MIN | 範囲内の最小値を求める |
使い方の例
- SUM関数=SUM(A1:A10)A1からA10までの合計を計算します。
- AVERAGE関数=AVERAGE(B1:B5)B1からB5までの平均値を求めます。
- COUNT関数=COUNT(C1:C10)C1からC10までの数値が入力されているセルの個数を数えます。
- COUNTA関数=COUNTA(D1:D10)D1からD10までの空白でないセルの個数を数えます。
- MAX関数=MAX(E1:E10)E1からE10までの最大値を求めます。
- MIN関数=MIN(F1:F10)F1からF10までの最小値を求めます。
条件付き集計・検索
条件に応じて集計や検索を行いたい場合に便利な関数です。データベース的な使い方をしたいときにも活躍します。
関数名 | 機能の概要 |
IF | 条件によって異なる値を返す |
SUMIF | 条件に合うセルの合計を求める |
COUNTIF | 条件に合うセルの個数を数える |
AVERAGEIF | 条件に合うセルの平均値を求める |
VLOOKUP | 範囲の左端列で検索し、指定列の値を返す |
HLOOKUP | 範囲の上端行で検索し、指定行の値を返す |
XLOOKUP | より柔軟な検索・参照ができる新しい関数 |
INDEX | 範囲内の指定した位置の値を返す |
MATCH | 指定した値が範囲の何番目にあるかを返す |
使い方の例
- IF関数=IF(G1>=60, “合格”, “不合格”)G1の値が60以上なら「合格」、それ以外なら「不合格」と表示します。
- SUMIF関数=SUMIF(H1:H10, “>100”, I1:I10)H1からH10までの値が100より大きい場合、対応するI列の値を合計します。
- COUNTIF関数=COUNTIF(J1:J10, “東京”)J1からJ10までの中で「東京」と入力されているセルの個数を数えます。
- VLOOKUP関数=VLOOKUP(“商品A”, A1:C10, 3, FALSE)A1からC10の範囲で「商品A」を左端列から探し、3列目の値を返します。
- XLOOKUP関数=XLOOKUP(“商品A”, A1:A10, C1:C10)A1からA10で「商品A」を探し、対応するC列の値を返します(Microsoft365以降)。
- INDEX関数とMATCH関数の組み合わせ=INDEX(B1:B10, MATCH(“田中”, A1:A10, 0))A1からA10で「田中」を探し、その行のB列の値を返します。
テキスト操作
文字列データを扱う際に便利な関数です。データの整形や抽出、結合などに活用できます。
関数名 | 機能の概要 |
CONCAT | 複数の文字列を結合する(CONCATENATEの新バージョン) |
TEXT | 数値を指定した書式で文字列に変換する |
LEFT | 文字列の左から指定した文字数を抽出する |
RIGHT | 文字列の右から指定した文字数を抽出する |
MID | 文字列の指定位置から指定文字数を抽出する |
LEN | 文字列の長さ(文字数)を返す |
TRIM | 文字列の余分な空白を削除する |
使い方の例
- CONCAT関数=CONCAT(A1, ” “, B1)A1とB1の内容をスペースでつなげて結合します。
- TEXT関数=TEXT(C1, “yyyy/mm/dd”)C1の数値を「年/月/日」形式の文字列に変換します。
- LEFT関数=LEFT(D1, 3)D1の文字列の左から3文字を抽出します。
- RIGHT関数=RIGHT(E1, 2)E1の文字列の右から2文字を抽出します。
- MID関数=MID(F1, 2, 4)F1の文字列の2文字目から4文字分を抽出します。
- LEN関数=LEN(G1)G1の文字列の長さ(文字数)を返します。
- TRIM関数=TRIM(H1)H1の文字列から余分な空白を削除します。
日付・時刻
日付や時刻を扱う際に便利な関数です。スケジュール管理や経過日数の計算などに役立ちます。
関数名 | 機能の概要 |
TODAY | 現在の日付を返す |
NOW | 現在の日付と時刻を返す |
DATE | 年・月・日から日付を作成する |
YEAR | 日付から年を抽出する |
MONTH | 日付から月を抽出する |
DAY | 日付から日を抽出する |
EDATE | 指定した月数だけ前後の日付を返す |
DATEDIF | 2つの日付の差を年・月・日で返す(非公式関数) |
使い方の例
- TODAY関数=TODAY()今日の日付を返します。
- NOW関数=NOW()現在の日付と時刻を返します。
- DATE関数=DATE(2024, 6, 1)2024年6月1日の日付データを作成します。
- YEAR関数=YEAR(A1)A1の日付から年だけを抽出します。
- MONTH関数=MONTH(B1)B1の日付から月だけを抽出します。
- DAY関数=DAY(C1)C1の日付から日だけを抽出します。
- EDATE関数=EDATE(D1, 3)D1の日付から3か月後の日付を返します。
- DATEDIF関数=DATEDIF(E1, F1, “Y”)E1とF1の日付の年数差を返します(”M”で月数、”D”で日数も可)。
その他の便利な関数
集計やデータ分析、データの整理などに役立つ関数です。知っておくと作業の幅が広がります。
関数名 | 機能の概要 |
ROUND | 指定した桁数で四捨五入する |
RANK | 範囲内での順位を返す |
SUBTOTAL | フィルタや非表示行を考慮した集計を行う |
UNIQUE | 範囲内の重複しない値を抽出する(Microsoft365以降) |
使い方の例
- ROUND関数=ROUND(A1, 2)A1の値を小数点以下2桁で四捨五入します。
- RANK関数=RANK(B1, B1:B10, 0)B1の値がB1からB10の中で何位かを返します。
- SUBTOTAL関数=SUBTOTAL(9, C1:C10)C1からC10までの合計を、フィルタや非表示行を考慮して計算します。
- UNIQUE関数=UNIQUE(D1:D10)D1からD10までの重複しない値を抽出します(Microsoft365以降で利用可能)。
よくある質問(FAQ)
Q. どの関数から覚えればいいですか?
まずは「SUM」「AVERAGE」「IF」「VLOOKUP」など、基本的な集計や条件分岐、検索に使う関数から覚えるのがおすすめです。これらは多くの業務で頻繁に使われます。
Q. 関数の使い方がわからないときは?
Excelの「関数の挿入」ボタンや、公式ヘルプを活用しましょう。また、関数名でインターネット検索すると、具体的な使い方や事例がたくさん見つかります。
Q. 関数を組み合わせて使うことはできますか?
はい、複数の関数を組み合わせて使うことで、より複雑な処理や分析が可能になります。たとえば「IF」と「VLOOKUP」を組み合わせて、条件によって検索結果を変えることもできます。
まとめ
Excelの関数は、使いこなせるようになると作業効率が大幅にアップします。最初は難しく感じるかもしれませんが、よく使う関数から少しずつ覚えていくことで、自然と応用力も身につきます。この記事で紹介した関数を参考に、ぜひ日々の業務や学習に役立ててください。
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